骨折による「起き上がれない」への対応――在宅での安全な介助と心のケア

いつもの日常が、転倒一つで一変してしまうことがあります。静岡県にお住まいのBさんは、いつものスーパーに買い物へ向かう途中で転倒し、腰の骨を折られました。ご自宅での療養生活が始まりましたが、そこには「動けない」という切実な壁がありました。
介護ベッドがあっても難しい「最初の動き」
介護ベッドを導入しても、すぐに以前のような生活に戻れるわけではありません。Bさんの場合、寝返りを打つだけで激しい痛みが走り、起き上がる動作への恐怖心が強くありました。
Bさんが静かにこぼされた「ベッドがあっても、一人では起き上がれませんね」という言葉。これは、道具(福祉用具)を揃えるだけでは解決できない、在宅療養の難しさを表しています。
私たちスタッフがBさんのサポートで最も大切にしたのは、無理に動かそうとしないことです。介助の現場では、以下の点に重点を置きました。
- 呼吸を整える時間を確保する痛みが増す動きを避け、Bさんの呼吸が落ち着くのを待ってから次の動作へ移ります。焦りは痛みを強くさせ、恐怖心を植え付けてしまうからです。
- 言葉かけは最小限に動作の合図は短く、明確に。Bさんの表情を細かく観察しながら、一つひとつの動きを丁寧に進めました。
安全を確保するための複数名で対応
身体にかかる負担を最小限にするため、必要に応じて男性スタッフ2名を追加した体制を整えました。人数を増やす目的は、力任せの介助を行うためではありません。
- 動作を急がず、多角的に支えることで「ゆとり」を生む。
- 支える位置と合図をスタッフ間で完全に一致させ、振動や衝撃を抑える。
Bさんは当初「そこまでしていただくのは……」と申し訳なさそうにされていましたが、「Bさんの安全が守られることが、ご家族の安心にもつながります。一緒に整えていきましょう」と、プロとしての判断をお伝えしました。
身体のケアと同じくらい大切な、夜の心の支え
骨折後の療養生活で、身体の痛みと同じくらい深刻なのが「夜の不安」です。介助が一段落した後の静かな時間、Bさんは「一人の夜が、とても長い。。。」とお話しくださいました。
暗い部屋で動けずにいる不安は、想像以上に心身を消耗させます。腰をさすりながらお話を伺う時間は、単なる身体介助を超え、明日への活力をつなぎ止めるための大切な時間となりました。
生活支援とは、単に動作を手助けすることではありません。ご本人やケアマネジャー様が抱える「この状態で自宅生活が送れるだろうか」という不安に対し、具体的な解決策を共に考え、安心の土台を作ることだと考えています。
現在の状況で不安なことや、これからの生活で望むことがあれば、まずは一度お聞かせください。
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