子どものいない叔父・叔母が倒れたら。「甥・姪だから」と全部背負う前に

「◯◯さんの甥御さんですよね。入院の手続きに来ていただけますか」
ある日突然、病院からそんな電話がかかってくる。相手は、子どものいない叔父さん、叔母さん。もう何年も会っていないのに、気づけば「いちばん近い親族」は自分だった——。
最近、こうした立場になって戸惑う甥・姪の方が増えています。どこまで引き受けるべきなのか。仕事や自分の家庭がある中で、引き受けきれない部分はどうすればいいのか。この記事では、その整理の仕方をお伝えします。
「頼れる家族がいない高齢者」は、もう例外ではありません
意外に思われるかもしれませんが、これは一部の特別な家庭の話ではなくなりつつあります。
国立社会保障・人口問題研究所の「日本の世帯数の将来推計(2024年推計)」によると、65歳以上の一人暮らし世帯は、2020年の約738万世帯から2050年には約1,084万世帯へと、約1.5倍に増える見通しです。
さらに同じ推計では、2050年には一人暮らしの高齢男性のうち約6割(59.7%)が未婚とされています。未婚ということは、配偶者も子どももいないということ。「何かあったときの連絡先」が、きょうだいの子——つまり甥・姪に回ってくるケースは、これからますます増えていくと考えられます。
あなたに今日届いたその電話は、決してめずらしいことではないのです。
病院や施設は、なぜ「身元保証人」を求めるのでしょうか
総務省行政評価局の調査(令和5年8月)では、回答した病院・介護施設の9割以上が、入院・入所の際に身元保証人等を求めていました。
一方で、国は平成30年に「身元保証人等がいないことのみを理由に、医師が患者の入院を拒否することは医師法第19条に抵触する」という通知を出しています(厚生労働省医政局医事課長通知、平成30年4月27日)。介護施設についても同じ年に、「身元保証人等がいないことは、サービス提供を拒否する正当な理由には該当しない」と自治体を通じて周知されています(厚生労働省老健局、平成30年8月30日)。
それでも現場が保証人を求め続けるのには、理由があります。入院費の支払い、急変時の連絡、退院後の身柄の引き受け、亡くなった場合の対応——誰かが担わないと現場が立ち行かない役割が、実際にあるからです。「求める病院が悪い」で終わる話ではなく、「その役割を、誰がどう分担するか」を考えることが現実的な出発点になります。
甥・姪に実際に「回ってくること」——よくある4つの場面
では具体的に、何を頼まれるのでしょうか。よくあるのは次の4つです。
- 入院誓約書への署名。入院費の支払い保証や身元引受人として、書類への署名を求められます。
- キーパーソンの指定。治療方針の相談相手や、容体が変わったときの連絡先になります。
- 退院のときの調整。退院後の行き先探し、介護保険の申請、施設の見学や契約など、入院よりむしろ退院後のほうが手続きは多くなりがちです。
- その後のこと。亡くなられた後の葬儀、家財の片付け、公共料金などの契約の整理といった、いわゆる死後の手続きです。
一つひとつは「家族なら」と思える内容でも、遠方に住み、仕事や自分の家庭を持ちながらすべてを担うのは、現実にはかなりの負担です。
全部を一人で背負わなくていい、という選択肢
身元保証をめぐる悩みは、公的にも認識されている課題です。総務省の行政相談窓口には身元保証に関する相談が寄せられており、関東管区行政評価局は入院・入所の支援事例をまとめた報告書(令和4年3月)を公表しているほどです。悩んでいるのは、あなただけではありません。
そのうえで、選択肢を整理してみます。
- 担える部分だけ担う。「緊急連絡先にはなるが、支払い保証は難しい」など、役割を分けて病院・施設に相談してみる方法があります。
- 地域の窓口に相談する。お住まいの地域の地域包括支援センターは、こうした相談の入り口になってくれます。
- 民間の身元保証・生活支援サービスを利用する。国も令和6年6月に「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」を公表し、契約内容や預託金の扱いなど、事業者を選ぶときの目安を示しました。
- 相続や成年後見といった法律にかかわることは、弁護士や司法書士などの専門職と連携して進める形が安心です。
ポイントは、「全部やる」か「全部断る」かの二択にしないこと。担えるところは家族が、担いきれないところは地域やプロが、という分担ができれば、ご本人にとっても安心な体制になります。
ウェルビーの想い
ウェルビーは、頼れる身寄りがいない高齢者が安心して心豊かに暮らせる社会をつくることを使命に、静岡で身元保証・日常生活支援・終活支援に取り組んでいます。
「甥だから」「姪だから」と一人で抱え込んで、ご自身の生活が立ち行かなくなってしまっては、叔父様・叔母様も本意ではないはずです。ご家族が無理なく担える範囲を見つけること。それも、ご本人の安心につながる大切な備えだと私たちは考えています。
まずは、話だけでも聞かせてください
「何をどこまでやればいいのか、そもそも分からない」——その状態のままで大丈夫です。叔父様・叔母様の状況を伺いながら、ご家族が担う部分と、任せられる部分を一緒に整理します。ご相談だけでも構いません。
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