「身寄りのない高齢者支援」がついに国の制度に。ケアマネ・病院の現場は何が変わる?
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「身元保証人になってくれるご家族がいなくて……」——入院や施設入所の場面でこの一言に立ち止まった経験は、ケアマネジャーや病院の相談員の方なら、一度や二度ではないはずです。
実は2026年6月、この長年の課題への国の答えとなる法律が成立しました。「社会福祉法等の一部を改正する法律」(令和8年法律第51号)です。
意外に思われるかもしれませんが、身寄りのない高齢者の入院の手続きや、亡くなった後の手続きを支える仕事は、これまで法律上の位置づけがない、いわば「民間サービス任せ」の領域でした。それが今回の改正で初めて、国の制度として届け出をして行う福祉の仕事(第二種社会福祉事業)に位置づけられたのです。
この記事では、介護・医療の現場で働く皆さまに向けて、「何が決まって、現場はどう変わりそうか」を、厚生労働省の資料に沿って整理します。
なぜ今、国の制度になったのか——数字が示す背景
背景にあるのは、頼れる身寄りがないまま年を重ねる方の増加です。
内閣府の「孤独死・孤立死」に関するワーキンググループの取りまとめ(令和7年4月公表)によると、自宅で亡くなった一人暮らしの方のうち、亡くなってから8日以上たって見つかった方——つまり生前に社会的な孤立があったと強く推認される方は、令和6年の1年間で21,856人と推計されています。
また、総務省統計局の推計では、65歳以上の人口は3,619万人、総人口に占める割合は29.4%と過去最高です(2025年9月15日現在)。
こうした中で、生活のこと・入院のこと・亡くなった後のことを支える民間の身元保証・終身サポートサービスの必要性は年々高まってきました。一方で、事業者によるサービスの質のばらつきや契約をめぐるトラブルも指摘され、国は2024年6月に事業者向けの国のルールブック(高齢者等終身サポート事業者ガイドライン)を示していました。今回の法改正は、そこからさらに一歩踏み込んだものといえます。
新しい事業の中身——「生活」「入院」「死後」の3つの支援
改正法では、身寄りのない高齢者などを対象に、次の3つの支援を行う事業が新たに法律上に位置づけられました(厚生労働省「社会福祉法等の一部を改正する法律の概要について」より)。
- 日常生活の支援:お金の出し入れの手伝いや、福祉サービスを利用するときの手続きの支援など
- 入院・入所のときの手続き支援:緊急連絡先になる、入院費の支払いの手続きなど
- 亡くなった後の手続き(死後事務)の支援:葬儀や納骨、家財の片付け、行政への届け出など
この事業は第二種社会福祉事業と位置づけられ、事業者は届出制となる見込みです。また、資力の乏しい方には無料または低額でサービスを提供することが求められます。
あわせて、市町村が「地域権利擁護相談支援センター」を設置できる仕組みも設けられ、地域包括支援センターなどと連携しながら、相談体制を整えていくことが想定されています。社会福祉協議会も、安定的な運営を支える対象として位置づけられています。
なお、届出の基準や運用の細かい部分は、今後の政省令などで具体化される予定です。現時点では「確定した細部」よりも「大きな方向性が法律で決まった」段階と捉えるのが正確です。
現場は何が変わる? いつから?
施行の時期は改正の内容ごとに段階的に定められており、この新しい事業に関する部分は「公布後1年6月以内に政令で定める日」とされています(厚生労働省・社会保障審議会介護保険部会〔第135回〕資料)。つまり、現場の準備期間はそれほど長くありません。
ケアマネジャーや病院の相談員の立場では、次のような変化が見込まれます。
- 身寄りのない利用者・患者さんを民間サービスにつなぐとき、「届け出のある事業者かどうか」という判断材料ができる
- 市町村の相談窓口が整えば、「まずどこに相談するか」の入り口がはっきりする
- 資力の乏しい方にも、無料または低額の支援という選択肢が生まれる
また、法律の成立にあたって国会が付け加えた「今後こう検討してほしい」という申し送り(附帯決議)でも、事業の適正な運営の確保などが求められており、制度の詳細はこれから詰められていきます。新しい情報が出るたびに、確認していくことが大切です。
制度ができる前から、この仕事をしてきました
ウェルビーは、静岡市終活支援優良認証事業者として、身元保証・日常生活支援・終活支援・任意後見などに取り組んできました。今回の法改正で位置づけられた「生活」「入院」「死後」の3つの支援は、まさに私たちが日々の現場で向き合ってきた仕事そのものです。
頼れる身寄りがいない高齢者が安心して心豊かに暮らせる社会をつくる——これが私たちのミッションです。この仕事が国の制度として位置づけられたことを追い風に、そして同時に、より重い責任として受け止めながら、地域の皆さまと一緒に体制づくりを進めていきたいと考えています。
介護・福祉・医療の現場の皆さまへ
「身寄りのない利用者さんのことで、つなぎ先に迷っている」「施設・病院として、身元保証のある方とない方の受け入れをどう整理すればいいか」——そんなご相談を、事業者・法人の皆さまからも受け付けています。静岡市の認証事業者として、制度の動きも踏まえながら一緒に考えます。個人の方の終活・身元保証のご相談ももちろんお受けしています。まずはお気軽にお問い合わせください。
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